給湯器の市場とメーカーの動向

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給湯器の市場とメーカーの動向

現在、ガス給湯器の市場は、従来のガス給湯機や電気温水器からエコジョーズを筆頭に高効率機へと本格的に遷移し始めています。
ですが高効率給湯機と言っても種類は様々で、ガスの使用量を削減したエコジョーズ、大気熱を利用し省電力で給湯するエコキュート、電力・ガス両方の強みを持つハイブリッド型、そして発電も行うエネファームと多種多彩です。
これらの高効率給湯器が今後どうなっていくのか、まず給湯器市場を俯瞰して捉え、業界地図を考えてみました。

 

H3メーカー別・給湯器タイプ別のシェア

各市場はエコジョーズが96.4万件、エンドユーザーへの販売ベースでの金額規模にして約2400億円規模とトップです。エコキュートは42万件と件数は少ないながらも、単価の高さが後押しし同2100億円。ハイブリッド型はまだまだこれからといったところで販売台数は1.5万件、金額規模では75億円、エネファームは4.1万件、同500億円、となっています。

 

給湯器市場は合計して約144万件、約5100億円もの大規模市場となっています。

 

各機の主なメーカー、シェアは以下の通りです。

 

エコジョーズ

リンナイ38% ノーリツ38% パロマ18% パーパス5% 長府製作所1%

 

エコキュート

パナソニック27% 三菱電機26% コロナ14% 日立アプライアンス14% ダイキン工業12% 東芝キャリア5% 長府製作所3% デンソー他1%

 

ハイブリッド型

リンナイ80% ノーリツ20%

 

エネファーム

パナソニック64% アイシン精機36%

 

給湯器の流通事情とネット系業者が安い理由

では、流通サイドではどこがメインプレイヤーとなっているのでしょうか。給湯機は使用するエネルギー源に大きく左右されます。例えば、東京電力や電機契約の小売販売店がエコジョーズを売るはずがなく、また逆も然りです。そんな特色を持つ同市場では、同じ水回り機器として横断的に取り扱う管材系(橋本総業や渡辺パイプ、富士機材など)が主導しています。ただ、ここはあくまでもBtoBの卸やメーカーであり、一般の方にはあまり関係ないところです。

 

建材や住設系も同様に一住宅設備として提案していますが、太陽光発電システムが標準搭載されはじめ、セット提案において親和性の高いエコキュートの販売が中心となっている様です。ここは住友林業、ジャパン建材、積水ハウスや旭化成ホームズなど、新築戸建ての際にはお世話になる方も多いのではないでしょうか。

 

勿論、エネファームやハイブリッド型も着目されているますが、現在の流通事情においては下流の販売店が新たにガス免許を取得しなければならない・価格が非常に高くユーザーに浸透していない、といったケースも多い為、取扱が少ないのが現状です。

 

またガス系、電気系と分かれる商流において、両エネルギーを使用するハイブリッドは、宙に浮いた状況であすが、オール電化を阻止すべくガス系の販売店が取扱うほか、現在はZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)向けにハウスメーカーやZEHビルダー側から顧客に提案されています。

 

高効率市場を先導するエコジョーズは、従来型のガス給湯機との交換による需要も多く、ネット販売業者の取り扱いが増えています。とは言え、ユーザーが直接ネット注文するのではなく、販売業者がネット系を介し調達。これを工務店が直販する事例が増えています(エコジョーズメーカー各社)これは、大量に扱うネット販売業者のから調達する方が安いためで、その為、価格面ではネット系業者が最もリードしているのです。

 

尚、エコキュートは家電量販での購入も増加傾向にあり、身近な住宅設備としてますます市場拡大が見込まれています。

 

エコジョーズは今後サポート役に回る?

ZEH市場において、出番が少ない様にも見えるエコジョーズだすが、実際の市場動向はそんなことはありません。確かに性能面では限界値が見えており、効率が重視されるZEH市場では採用されることは少なくなっています。
しかしエコジョーズはエネファームやハイブリッドの補助熱源として利用されているため、その実、ZEH向けシェアにも組み込まれているようなものです。

 

リンナイやノーリツはハイブリッドを押し出しながら、同時にエコジョーズの拡販も続けており、パーパスもエネファームのバックアップ熱源機向けに注力しています。またZEH向けの採
用例は多くありませんが、太陽光システムと組合せた形も展開しています。

 

ZEH向けではありませんが、パーパスは2017年6月に業務用のハイブリッドを発売しており、高効率市場においては、一般向けよりも業界内でのサポート役という立ち位置が色濃くなってきました。

 

そんな中、独自の戦略を敷いているのがパロマです。基本性能で差別化しづらい給湯器の次なる一手として、「本体はエクステリアの一つとして、質感や外壁に馴染むフォルムなど拘りをもった意匠性を施している。屋内のリモコンにおいても、とことんスタイリッシュな見た目、操作性に配慮した」(パロマ商品企画室の田浦マネージャー)と語るようにデザイン性を重視した商品展開を行っています。
1月に発売した新リモコンは、2017年のグッドデザイン賞を受賞。
「言うまでもなく、ZEHも住宅。エネルギー性能だけでなく、快適さ、使いやすさなど生活に馴染
む美しいデザインを提案していきたい」(同田浦氏)としています。

 

またパーパスの鈴木グループリーダーも「補助熱源向けに注力するものの、無論、エコジョーズ単体でもしっかり展開していく。体脂肪測定や半身浴モードなど当社ならではの機能で健康・美容ニーズをキャッチアップし、独自性を出していきたい」と語っています。

 

省エネ性能を主軸に各社が多様な給湯器の戦略を探るZEH市場ですが、同市場はまだまだ始まったばかり。今後ZEHの浸透が進めば、より熾烈な争いになることでしょう。

 

それらの競争が価格や性能に反映され、より良い給湯器が家庭で使えるようになる未来はそう遠いものではありません。

 

各メーカーの給湯器シェア・今後の動向まとめ

 

リンナイ

エコジョーズ:40万台 ハイブリッド:1.2万台

 

給湯効率業界トップの一次省エネ性能156%を達成したハイブリッドを発売。ZEH市場に攻勢を掛ける。4月に新工場棟を新設した暁工場(愛知県瀬戸市)において、生産コスト削減を図り、ハイブリッドの出荷台数を2020年に3万台/年、2030年に10万台/年とする目標を掲げている。

 

ノーリツ

エコジョーズ:40万台 ハイブリッド:3000台

 

一次省エネ性能145%の業界トップクラスを実現したハイブリッドを発売。エコジョーズでは入浴見守り機能やUV除菌機能など省エネ以外の付加価値を提案しシェア拡大を狙う。

 

パロマ

エコジョーズ:20万台

 

外壁に馴染むデザイン性に配慮したエコジョーズで、暮らしに配慮した訴求に注力。次期発売のシンプルかつスタイリッシュな意匠性を施した給湯リモコンは、2017年のグッドデザイン賞を受賞した。

 

パーパス

エコジョーズ:5.5万台

 

6月に業務用のハイブリッドをリリース。エコジョーズを補助熱源として組み込むことで、出荷台数拡大を図る。SOFC型のエネファーム向けバックアップ熱源への採用も好調に推移している。

 

パナソニック

エネファーム(PEFC):2.6万台

 

17年モデルでは東京ガスと共同で定価150万円を切る制品をリリース。性能面でも耐久時間を7万→9万時間に拡進。さらにIoT化により遠隔メンテナンスやHEMSとの連携機能等を付帯し拡販を図る。欧州向けの展開も視野に入れる。

 

アイシン精機

エネファーム(SOFC):1.5万台

 

電力自由化後の余剰電力売電プラン登場により頭角を表す。SOFC型はエネファーム市場には後入りながら既に年間出荷は約1.5万台と順調に推移。さらなる効率向上やコストダウン、コンパクト化を図っているほか、VPP対応の実証も進める。