エコジョーズの次を担うのは?関西で勃発したエネルギーバトル

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エコジョーズの次を担うのは?関西で勃発したエネルギーバトル

エコ給湯器

このページでは給湯器業界の未来について、また市場ではどのような動きが起こっているのか、お伝えしていきます。

 

普及拡大が見込まれるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)市場の興隆やガス・電気を家庭内でどう使うか。そのスイッチング争いが勃発したエネルギー自由化など、様々な市場背景の中、如何にして高効率給湯機を提案しているのでしょうか。

 

同機器を大量に捌く商社や販売店の状況や戦略についてフォーカスします。言わずもがな、現在の市場でのメイン商材はエコジョーズ、エコキュートですが、超高効率未来型給湯器の一員であるハイブリッド型やエネファームへの期待感も高まっています。

 

電力の後押しが強い西日本 関西が激戦区に

 

給湯機は電力会社やガス会社を利用すると機器単体ではなく、料金プランとの抱き合わせで提案されるケースが多いです。電気・ガスの2つのエネルギー自由化を経て、新規参入事業者はエネルギースイッチングに向けて様々な料金プランを用意。既存業者も多様なプランや付帯サービスをもってこれに対抗しています。

 

そんな中、東日本大震災以後、PRを自粛していたオール電化プランの積極展開も再開されはじめ、特に西日本での提案が目立ってきました。中でも大阪ガスと攻防を繰り広げる関西電力では10月〜12月にかけて、オール電化のPRを絡めたオープン懸賞を実施。クイズに回答した1000名を対象に温泉宿泊券やギフト券などを進呈するキャンペーンを行いました。

 

このほか、管内のイオンモールや産業会館で消費者向けの展示イベントを開催するなど、オール電化を積極的にアピールしています。

 

また九州電力でもテレビCMだけでなく、オール電化100万戸突破記念として10〜12月間、エコキュートまたはIHを導入した顧客に対し地元名産品の抽選キャンペーンを実施するなど積極駅な販売運動をしています。

 

こうした電力会社の動きは時間帯別料金プランを武器とするエコキュートにとっては大きな後押しとなっており、同機を年間約1万5000台も販売する長府工産の井村専務は

 

「各社PRを強めていることもあり、特に西日本への出荷数、また熱源転換も多い。前年度は熊本地震によるリプレイスの特需が発生したものの、九州地区においても前年並で推移している。ZEH向けを含めたビルダーへのアプローチ、電気温水器からの買い換えも順調に進んでおり、7年度は当初目標としていた1万6000台を超える見込み」

 

と活況ぶりを語りました。同社では販社と組みユーザーにゼロ金利での分割払いを提案するなどの戦略も奏功した様です。

 

オ−ル電化への提案が強まり、エコキュートの販売が好調に推移する西日本エリアですが、もちろんガス側も黙ってはいません。特に大阪ガスでは10月25日時点でスイッチング数が50万件を突破。

 

経済産業省の公開資料によれば関西電力管内での総数が約108万件であることから、大阪ガスだけで半数を占めるほどです。故にガス・電気の激戦区となっています。また、エコキュートが市場に登場した当初から取り扱い、年間600件の販売・施工を手掛けるソレールサービスは

 

「新規で提案に行くと、既に大阪ガスさんへ切り替えを終えており、エコジョーズが新設されているケースも目立っている」(ソリューション事業部林田事業部長)

 

と所感を述べています。同社はエコキュートなどオール電化設備をメインに展開していますが、ガス設備を取り扱う免許も保有しており、

 

「導入年数の浅いガス給湯機が設置されている場合で、お客様がエコキュートに関心を持たれた際には、既存設備を親戚等に移設した上で新たにエコキュートを導入するケースもある」

 

と同社ならではのなせる技で熱源転換を行っていると言います。

 

ガス・石油・電気と全ての給湯機を取扱う大手管材商社、橋本総業の佐山取締役兼常務執行役員は

 

「エコキュートは機能が豊富であり、また貯湯式ならではのお湯のやわらかさもメリットの一つである。さらに優れたランニングコストも有し提案しやすい。一方でエコジョーズも他の給湯機に比べイニシャルコストが低いだけでなく、ノーリツでは入浴中のふろ見守り機能を追加したほか、リンナイではスマホアプリサービスを開始するなど様々な機能が追加され、より提案しやすくなった」

 

と語ります。まさに実力伯仲。料金プラン・給湯器ともに選択肢が豊富なだけあり、他地域でもエネルギー会社の方向性によって市況は変化しそうな気配です。

 

関東では東京ガスがスイッチング数100万件を突破、東電管内の切替総数の約半数を占めています。今後さらにガス系の勢いが強まることが予想できます。

 

性能は十二分ながら……ハイブリッド型よりもエコジョーズ優勢

 

では、料金プランで不遇のハイブリッドはどうか。橋本総業の佐山取締役は

 

「瞬瞬間湯沸かしの能力、床暖房も効率的に利用できる。さらに省エネ性能も高くZEHにも最適であり素晴らしい製品であると感じている」

 

と期待感を示します。しかし東日本大震災以後、エコキュートが下火になった際に提案したものの、やはり燃料の小売販売を行う業者からは「使用するガス量が削減されることから売りにくい」との声が多いようです。また、当初より価格が下がってはいるものの、他機種と比べるとイニシャルコストが高いという大きな課題があります。

 

ガス給湯機の販売・施工だけで年間10億円以上を売上げる愛知の大手販売店も

 

「売上単価UP、また環境貢献にも繋がるハイブリッドにはもちろん興味がある。ただ提案のしやすさや施工性など営業効率を鑑みるとエコジョーズに軍配がある。1件あたり材工込みで約15万円、1日3件で一人当たり45万円程度の売上をベースとしているが、ハイブリッドでこれをカバーできるか。また導入費用に対しユーザーを裏切らない価格メリットを提示できるか。これらをクリアできれば提案していきたい」

 

と話します。売り手側の関心は高いが、イニシャルコストなどの面から積極販売に踏み切れないのが現状でしょう。

 

橋本総業の佐山取締役は

 

「エコジョーズもエコキュートも当初は導入補助とともに普及した経緯がある。現在はZEH補助金の構成設備として対象となってはいるが、エネファームと同様にハイブリッド単体での補助も欲し
いところ」

 

と語ります。

 

エネファームは着々と前進 業界人の声

 

他方、ガス会社が機器販売で特に提案を強めているエネファームは、着々と対応幅を拡げています。大阪ガス燃料電池推進チームの藤井リーダーは

 

「SOFCシステムの登場や余剰売電プランの解禁により、お客様のニーズやライフスタイルに合わせて提案できるようになった」

 

と話します。実際、PEFCを利用しているユーザーにヒアリングすると

 

「次はSOFCの導入を考えている。PEFCも同様の発電機能を有しているのに、給湯需要があるときのみしか発電しないのは勿体なく感じる」(40代女性)

 

と話しています。一方で

 

「常に稼働し続けるSOFCを好まないお客様もいる。またSOFCによる余剰売電プランは太陽光発電との併用ができないため、太陽光を設置予定のお客様はPEFCや電力需要追従タイプのSOFCを導入されるケースもある」(藤井リーダー)

 

など様々なニーズがある中、エネファームは対応幅を拡大してきました。加えて、既存住宅向けの対応力も向上。東京ガス燃料電池営業支援グループの清水マネージャーは

 

「PEFCでは側方メンテが可能となった。これまでメンテスペースを取れなかったために設置不可となった案件に対しても導入できるものとなった」

 

とするほか、大阪ガスの藤井リーダーは

 

「補助熱源と発電ユニットを切り離したタイプでは既存の給湯機を補助熱源に利用できる」

 

と語ります。このほか、東京ガスでは8月よりスマホアプリによるエネファームのネット接続サービ
スを開始。発電量やガス・お湯の使用量の見える化、給湯・床暖房の遠隔操作などを行えるようにしました。

 

大阪ガスでも同様のアプリを配信しており、両社とも「同サービスは今後も拡張していく。導入コストや料金プランはもちろんだが、使用感の向上にも注力し拡販に繋げる」と話しています。

 

ガス会社だけでなく、先述の通りガス免許を有するソレールサービスも

 

「要望があれば、販売のみ行い工事は協力店に依頼している。現在、ZEHの構成機器提案など工務店へのアプローチも図っており、ニーズが多ければ今後取り扱い商材として検討していきたい」(林田事業部長)

 

と注目しています。

 

ZEH向け採用率アップヘ太陽熱利用にも動きあり

 

ZEH市場の立ち上がりを機に太陽熱も再興に向け動きを見せています。とは言え、自然循環型で業界トップ効率の製品を展開する太陽熱メーカーでもある長府工産の井村専務が「ダブルソーラーによるZEHの打診を受けたことはあるが、太陽光発電の搭載量が減少する分、エネルギー消費性能の面から実現しなかった」と語るように現時点では難しい状況のようです。

 

太陽光搭載により設置スペースがないことはもちろん、性能計算プログラムで天候の不確実さから過小に評価される傾向にあることも障害となっているようです。

 

これに対し、太陽光販売店であり太陽熱の製販も手掛けるサンジュニアは、独自にエネルギー性
能の検証を実施。西原弘樹社長は「搭載できたはずの太陽光の創エネ量よりも太陽熱による省エネ量の方が多いケースもある。業界を挙げてプログラムに反映できる様、働きかけていきたい」と語ります。

 

また、太陽熱大手、矢崎エナジーシステムの販社であるテクノ矢崎の水野取締役は「自然循環の大きなタンクが屋根上に搭載される様は時代に合っていない。ZEHなど次代の住まいには太陽光パネルとフラットに搭載できる強制循環が適している。エコキュートやエコジョーズとの複合タイプの提案に注力していく」とし、全体販売数の8割を占めていた自然循環型の製造を撤退、強制循環に一本化。ZEH向けに積極展開する構えです。

 

更に未来には水素給湯器!?長府工産が実証中

 

市場が一層の盛り上がりを見せ始める中、新たな給湯機の存在が見え始めています。長府工産が山ロリキッドハイドロジェン、岩谷産業、東芝燃料電池システムと共同で研究開発・実証を進めている純水素型燃料電池コージェネレーションシステムです。

 

同製品は、水素と酸素の反応によって発電した電気を事業所や宅内で使用するほか、発電時に出る熱を湯沸かしに利用、給湯機として活用するものです。

 

湯切れしそうな際には、水素バーナーを燃焼させ、バックアップも行えます。エネファームと似た仕組みですが、燃料を全て水素とする点がエネファームとは異なります。同社は3年前より同実証事業に参画。石油給湯機メーカーとしての知見をもとに、水素バーナーを搭載した貯湯ユニットの開発を担当しています。

 

本社敷地内には実証機を導入し、稼動データを収集しており、井村専務は「使用感に問題はないが給湯能力が現状4号程度となっており、一先ず10号までもっていきたい。本格的な製品展開は水素ステーションや燃料電池自動車などインフラが整い、水素エネルギーが身近なものとなってからとなるだろう。2030年を目処に商品化を目指したい」と語っています。

 

新たな機種の参入まで見え始めた高効率給湯市場。様々な普及トリガーを控える中、販売サイドの攻防も加熱することは間違いありません