次世代の覇権を握る給湯器は?エコキュート・エネファーム・ハイブリッドの行方

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次世代の覇権を握る給湯器は?エコキュート・エネファーム・ハイブリッドの行方

エコキュート

オール電化ハウス向け エコキュートの現状

エコキュートとは??

エコキュートは、ヒートポンプを利用し空気の熱でお湯を沸かす電気給湯機の中でも、フロンではなく自然冷媒のCO2を使用する製品のことを指します。CO2ではなくエアコン冷媒を使用するものは「ネオキュート」と呼ばれます。

 

「エコキュート」は電力会社・給湯機メーカーが販促として使用する愛称です。正式名称は自然冷媒ヒートポンプ式給湯機といいます。

 

空気熱を利用していることから、電気エネルギー1に対し、3倍分の熱エネルギーを得ることができ、沸き上げ時間は長くて8時間かかることもありますが、深夜に運転を開始することで、翌朝から夜までの給湯が必要な時間帯には使えるようなシステムとなっています。そして、夕方までは断熱性能を高め、放熱ロスを抑えた貯湯タンクで保温しておきます。

 

基本的に運転は料金の安い深夜電力を利用するため、従来型と呼ばれる給湯機に比べ、格段に安いランニングコストでの給湯を実現しているのが大きな特徴です。貯湯タンク容量は3〜4人家族向けの370Lがスタンダードとなっています。

 

☆H3 コロナ・デンソーによって製品化
エコキュートはコロナが初めて市場投入したとして有名ですが、もともとは東京電力、電力中央研究所、デンソーの3社で1997年より研究が進められていました。3社はCO2を冷媒としたヒートポンプの開発に成功、給湯機として製品化するにあたり、貯湯タンク側の開発パートナーを求め、コロナが、僅か一週間後に百人規模のプロジェクトチームを発足し、研究チームに参画したという経緯があります。

 

車載用の環境に耐える高性能な製品技術を保有するデンソーがヒートポンプを、電気的な技術に関しては東京電力・電中研が担当し、石油給湯機メーカーのコロナは、タンク式の給湯制御やタンクそのもののノウハウを活かし、貯湯タンクの製造や給湯制御の開発を担当。2000年に製品化に成功しました。

 

そしてコロナが、自社製の貯湯タンクにデンソーのヒートポンプを擁し2001年4月に発売したこと
で、給湯器業界に参戦を果たしたのです。

 

当初は「70万円の給湯機なんて売れるわけがないと住宅業界など各方面から指摘された」とコロナの佐藤執行役員が当時を振り返っていますが、その省エネ効率、オール電化プランや太陽光発電との相性の良さからハウスメーカー等に採用され始め、ものの4年間で10万台/年の市場へと成長していきました。

 

その後も年間10万台増のペースで推移し、2008年には50万台/年を突破、ピーク期の2010年には56万台へと拡大しています。しかし2011年の東日本大震災以降、電気の使用を控える風潮、またオール電化を提案するプレイヤーが太陽光発電中心の営業に切り換えたこと等から出荷減が続き、2015年には40万台/年にまで落ち込みました。

 

2011年からの右肩下がりは現在底に達したと見られており、2016年度はZEH(ネット・ゼロエネルギーハウス)市場の興隆、電力自由化による電力料金への関心度の高まりからエコキュートのランニングコストが再注目されるなどの要素もあり、42万台/年が販売されるところまで持ち直しました。

 

そして、今後は上昇基調に転じる兆しがあります。普及し始めたZEHでは半数以上がエコキュートを採用しているほか、かつてエコキュートを導入した家庭の交換需要が本格化しています。エココキュートの耐用年数は10〜15年とされ、初めて市場投入された2001年から販売開始した製品は今、稼働15年目を迎えており、今後、稼動10〜15年の期間内にあるリプレイス予備群は既に82万台に上ります。

 

さらに太陽光発電の売電期間終了ユーザーが大量発生する2019年問題に対して、蓄エネ(蓄熱)機器としての利用が注目されています。

 

売電期間切れの太陽光は、買電価格より安い価格での売電となることが有力視されており、自家消費する方が経済的となります。そこでエコキュートを昼間運転することで太陽光発電の自家消費率を高めるという考え方が浮上しているのです。

 

エコキュートのメーカーシェア

 

メーカーシェアは、パナソニック、三菱電機がトップ争いを、次いでコロナ、日立アプライアンス、ダイキン工業が第二集団で競争する形となっています。上位2社は太陽光システム、HEMSなどエコキュートと親和性の高い各種スマートエネルギー機器を同時に販売するほか、販路も大手ハウスメーカーや工務店などのハウス・ビルダー向けはもちろん、訪問販売ルートで強い地盤を構築しており、高いシェアを占有しています。

 

省エネ性能はNo1 ハイブリッド給湯器(エコワンなど)

 

ハイブリット給湯器とは?

ガスと電気の両方を利用し、より省エネ、より快適に稼動できるのがハイブリッド給湯器です。ハイブリッドタイプはエコキュートと同じくヒートポンプユニットとタンクユニットから構成されています。

 

エコキュートと違う点は、タンクユニットに補助熱源としてエコジョーズが組み込まれていることです。ガス・電気両方の給湯方式を採ることより、各々の欠点を補完し、相乗効果を発揮してい
ます。

 

ハイブリッド給湯器の強み

まず特筆すべき性能は、ガス給湯器の強みである、瞬間湯沸かしを行えるパワーを備えている点です。

 

エコキュートの最大の弱点は、湯切れの可能性があることとその際すぐにお湯を作り出せないことですが、ハイブリッドでは、貯湯タンクに加えエコジョーズが湯量をサポートするため、必要な時に必要なお湯を供給できます。

 

また補助源であるエコジョーズを有することから大容量の貯湯タンクが不要となり、ヒートポンプ自体も小型化できるため、省スペース化を実現しています。加えて、そのパワーは暖房利用にも適し、様々な温水暖房端末に対応、床暖房の敷設面積も広くとる事ができるようになっています。

 

二つ目は、ハイブリッド給湯器の専売特許とも言える燃費性能である。ヒートポンプにより予め蓄熱しておくことで、内蔵するエコジョーズは、従来よりも少ないガス量でお湯を沸かすことが可能です。逆にヒートポンプ側はガス熱源を備えるため低温域での貯湯で良く、最も効率良く電気を使える仕組みになっています。ガス消費量はエコジョーズに比べ約80%削減、電気はエコキュートに比べ約半減できるとされています。

 

三つ目は、ガス・電気両方の給湯方式を有していることで、ガス遮断時にはヒートポンプから、停電時はガス熱源から給湯でき、大規模災害などの非常時にも強いシステムとなっていることです。もちろん停電時には運転するための電源が必要となりますが、ガス発電機があれば電源を確保できる他、エコジョーズ自体は入力電圧100Vで運転するため、太陽光発電システムの自立運転用コンセントを電源に給湯することで対応が可能です。

 

エコキュートに対抗して誕生したハイブリッド

 

市場背景としては、2006年にリンナイが給湯器のさらなる省エネ化を目的に開発に着手。2010年4月に『エコワン』を発売したのがスタートです。リンナイの柴田氏は

 

「エコジョーズを開発した矢先、エコキュートが発売された。ガスの技術だけではエコキュートの効率に追いつくのは難しく、当社だけでなく、ガス業界としてもその存在は脅威に感じていた。そこでエコキュートに対抗できる。ものとして、ガス・電気の技術を組み合。せ、より効率の良い製品を開発するに至った」

 

と経緯を語っています。追ってノーリツが2012年に『HYBRID』を発売。熱交換器の冷媒には温暖化係数が極めて低い自然冷媒R290を使用し、リンナイ製との差別化を図っています。

 

両社の製品はそれぞれ省エネ大賞を受賞するほど業界を先駆ける製品でした。しかし販売については、なかなか上手くいきませんでした。

 

電気系の販売店はそもそもエコキュートを扱い、ガス系からはハイブリッドを導入することでガス使用量が大幅に削減されることから敬遠されたのです。さらに給湯器は、ガスまたは電気料金プランとセット(エコキュートであればオール電化プランなど)で提案してこそ経済メリットを発揮しますが、ガス・電気をそれぞれ少しずつ使用するハイブリッド給湯機の場合は、それぞれの料金体系上、省エネ効果が金額によって見えづらいことも普及の波に乗り切れない要因でした。

 

しかし建築物の省エネ化を進める中で、一次エネルギー消費量という新たなモノサシが登場。他の給湯器との性能を数値で比較できるようになり、リンナイの最新製品では一次エネルギー消費性能は156%、ノーリツも145%と明確な差を数値化することができました。

 

これにより特に一次エネ消費性能が求められるZEHにおいて、住宅事業者の採用が増え始めています。さらに電力・ガス自由化がスタートし、電力会社・ガス会社ともに両エネルギーを取扱うようになり、ガスと電気の垣根が低くなったことも追い風となっています。

 

電力・ガスのセット割を提案するエネルギー会社も増えており、料金体系的にもハイブリッドを扱い易い環境が整い始め、給湯業界の新興勢力として、勢いづいているます。

 

発電・給湯の二役 エネファーム

エネファームとは?

燃料電池を活用し、発電と給湯の二役を担うエネファームは、コージェネレーションシステムとも呼ばれています。都市ガス・LPガスから水素を取り出し、空気中の酸素と化学反応させて電気を生み出すという仕組みです。

 

その際生じる熱を利用することで発電に加え給湯も賄うのがエネファームの特徴です。都市ガスは石炭や石油に比べクリーンなエネルギーであること、また電気をつくる場所と使う場所が同じであるため送電ロスが少ないことから環境にも優しいと言われています。これらのメリットから国は普及推進を図っており、経済産業省では2020年頃に140万台、2030年には530万台の導入というロードマップを掲げています。

 

エネファームの2種類の仕組み

製品仕様には固体高分子形(PEFC)、固体酸化物形(SOFC)の2種類があります。各仕様の発電方法は変わりませんが、内部構造や運用方法が異なります。

 

まずPEFCは約60〜80℃で作動し、発電効率は40%程度。排熱回収率が高く発電よりも採熱に重きを置いており、お湯の使用状況に合わせて発電を行います。貯湯タンクが必要な湯量がある場合には発電を行いません。貯湯容量は140L程度です。

 

一方、SOFCは作動温度約700〜750℃で、発電効率は50%を超えます。高温稼働は効率良く発電するためであり、採熱できる量は少なく貯湯容量はアイシン精機製の最新機器で28Lしかありません。また高温域に達するまで時間が掛かるため、基本的に24時間稼働となります。

 

加えてSOFCでは、余剰電力が発生しないよう制御するパターンと、常に一定量発電するパターンの2つの運転方法があります。

 

もともとはエネファームで発電した電力を売電することができなかったため、前者の運転方法しか採用できなかったのですが、電力自由化を機に余剰電力の売買が解禁され、後者の運用が可能となりました。

 

エネファームによる余剰電力を買取るプランは大阪ガスや東邦ガス、静岡ガス等がラインナップしており、約1500W/年程度発電することから、大阪ガスのプランでは年間約1.2万円の売電収入が見込めるといいます。

 

エネファームのメーカー

メーカーは現在2社で、パナソニックがPEFC、アイシン精機がSOFCを製造しています。2017年6月までは東芝燃料電池システムも製造していましたが、7月末をもって終了しました。

 

販売は主に全国のガス会社が自社の販売網を通じて手掛けています。エネファーム=ガス会社による販売というイメージから、それ以外の企業は販売してはいけない様にも思えるが、特段、そういった制約はありません。ただガス会社が提案する10年間のフルサポートや専用の料金プランなどがある為、ガス会社から販売されているということです。

 

エネファームの経緯と市場

市場背景は2005年〜2008年にかけた大規模実証から普及がスタート、2009年より一般販売が開始されました。SOFCは2012年より登場。現在は年間4万台ペースで推移しており、5月には累計導入数20万台を突破しています。

 

先の通り販売は主にガス会社で2016年度は東京ガスが約1.8万台、大阪ガスが1.57万台と2社で80%以上のシェアを占めています。